病気のお子さんの家族のケアも、医療スタッフの大切な役割です

付き添い応援団 ハンドブックのダウンロードについてはこちらの記事をご覧ください

つきそい応援団ハンドブックの2、3頁では、病棟で勤務している医療職の役割を簡単に紹介しています。  

外来で主に接する医療者は、担当医と看護師さんですが、病棟ではその他にもたくさんの医療スタッフが勤務しています。それぞれの役割をよく理解して、困ったことやわからないことがあれば、ため込まずに小まめに相談していきましょう。

病棟の医療スタッフは付き添いママ、パパの心と身体のゆとりが、お子さんの回復を後押しする大切な要素だと十分に承知しているので、自分の心身の不調や不安、悩みについても遠慮をしないで話してください。

ハンドブック+αのお役立ち情報

担当の看護師さんが忙しそうで、質問ができないときは?

一般に、午前中は検査や点滴管理、患者さんのお世話などで病棟看護師が忙しい時間帯です。このときは担当の看護師を長く引き留めずに「相談があるので、あとで時間をとってください」と一言、添えておくとお互いに嫌な思いをせずにすみます。

また緊急以外のことは、比較的に余裕がある週末の午後を「相談タイム」と決めて、まとめて質問をしてもいいと思います。質問内容を忘れないように、そのつど、メモしておきましょう。

ソーシャルワーカーさんって、どうすれば会えるの?

お子さんが入院するような大きな病院には大抵、ソーシャルワーカー(SW)が常勤しています。ただし、小児だけではなく成人の患者さんにも対応しているので、小児がんなど専門的な関わりが必要な疾患以外では、あまり接する機会はないかもしれません。

SWは医療費負担の相談など家計に関すること、また入院中の学習相談など様々な困りごとに応じているので、病気に関すること以外に質問や悩みがあるときは、面会希望を出してみるといいでしょう。外来の患者相談窓口に常駐しているSWに飛び込み相談をしてみるのも一手です。

そのほか、病棟では次の専門職が勤務しています

公認心理師(臨床心理士)

公認心理師は2015年9月9日に成立した公認心理師法に基づく国家資格をもつ「心の健康」の専門家です。民間団体が認定する臨床心理士とは区別されていますが、仕事の内容はほぼ同じです。入院中のお子さんのことだけではなく、付き添いママ、パパ、そしてお家でがんばっている兄弟姉妹の心の健康についても相談ができます。

たとえば、眠れない、食欲がわかない、理由もないのに突然、涙がでてくる、など「心がSOS」を発信しているときは、迷わず公認心理師と話す時間をとってもらいましょう。

理学療法士/作業療法士

理学療法士/作業療法士は、病気の影響で生じる発達障害や運動機能障害の進行を予防したり、洗面や歯磨き、着替えといった生活動作の訓練や遊びを通じて、年齢に応じた自立を支援する専門職です。慣れない入院生活で不安定になりがちなお子さんのストレスを発散させ、情緒の安定にも目配りをしてくれます。

リハビリテーションの時間を利用して、子どもの運動機能や退院後の日常生活を送るうえでの不安や気がかりを相談してみましょう。

病棟保育士

病棟保育士は、病棟という「いつもとは違う場所」で生活しながら治療を受けている子どもの保育と、病児保育に疲れがちな付き添いママ、パパを支える大切な役割を持っています。お子さんをプレイルームで遊ばせている間に、子育ての悩みや付き添い生活の愚痴を聞いてもらったり、ときには子どもを預けて外出するなど、気分転換にも協力してもらえます。

病棟保育士を通じて医療チームと大切な情報を共有できるケースもあるので「こんなことを話してもいいのかな」と遠慮をせずに、なんでも話してみてください。

勇気を出して、でも冷静に、第三者に「助けて欲しい」と伝える

つきそい応援ハンドブックの8頁目(裏表紙)には、病気のお子さんを持つ家族への公的支援制度と付き添いママ、パパの相談に乗ってくれる患者団体の一覧を載せています。このサイト内の「困りごと別の相談先リンク集」からは各支援団体のサイトに直接、リンクできるので、ぜひ、利用してください。

お子さんと一緒に入院生活を乗り切るには、一人で無理をせずに第三者に「助けて欲しい」と伝える勇気が必要です。

とはいえ困難な状況のなかで自分自身の限界を認めるのは、とても怖いことですね。簡単に「助けて」とは言いだせないかもしれません。そんなときはまず、自分がおかれた状況を客観的にみて「これが友達のことだったら、何ていうだろうか」と冷静に考えてみてください。きっと「誰かに助けてもらったほうがいいよ」とアドバイスするのではないでしょうか? 

また、お子さんの前で弱みを見せて不安にさせたくない、強いママ、パパでありたいと思うこともあるでしょう。そうした場合は、病棟から少し離れて病院内の患者相談窓口を利用したり、プライバシーに配慮した民間の患者団体の電話相談やネット相談を利用してください。まずは第三者と対話をしながら気持ちを整理し、徐々に誰かに頼る力をつけていきましょう。

keyboard_arrow_up