「小児病棟付き添い食支援連絡会 えんたく」 第5回勉強会を開催しました

NPO(非営利団体)の組織づくりについて、法人格取得前に確認しておきたいポイントを講演いただきまし

「小児病棟付き添い食支援連絡会 えんたく」の連続オンライン講座の第5回勉強会が6月20日に行われました。

この連続講座が目指しているのは、専門家や実績のある支援団体から運営ノウハウを学び、各団体の付き添い食支援活動の維持・向上を図ること。また、全国で同じ思いを持って食支援活動に取り組む仲間を増やしていくことです。

連続講座 第5回 概要
【日 時】6月20 日(木)19:00~20:30
【テーマ】NPO(非営利団体)の組織づくり
     ~社会への信頼と活動を継続させるために法人格を取得する
【講 師】森 玲子さん(東京ボランティア・市民活動センター 相談担当専門員)
【活動事例紹介】認定NPO法人スマイルオブキッズ
 ※アーカイブはございません

第5回目の参加者は32名。参加者のうち、食支援を実施している人は14名。実施していない人は11名で、食支援活動を考えている人は7名でした。また、今回の参加者も患者・家族支援団体関係者が23名と最も多く、団体の組織づくりに対しても関心が高いことが伺えました。

第5回勉強会はNPO(非営利団体)の組織づくりをテーマに、東京ボランティア・市民活動センター相談担当専門員の森玲子さんを講師としてお招きし、事例紹介では幹事団体『認定NPO法人スマイルオブキッズ』事務局長の谷畑育子さんにご登壇いただきました。

【事例共有】谷畑育子さん 認定NPO法人スマイルオブキッズ

谷畑さんから最初に「認定NPO法人スマイルオブキッズ」の食支援活動についてご紹介いただいた後、今回のテーマに合わせて、団体設立の経緯、法人格を選択した理由などを含め、活動を継続していく中で目指してきた組織の在り方と、その時々の想いについて共有していただきました。

同団体は2011年に「認定NPO法人」を取得。その際に課題となったのは寄付者名簿の作成だったといいます。また、支援者から寄付を受けたときに「認定NPO法人を取得している支援先を探していた」というエピソードを紹介し、「当時は全国でも認定NPO法人は200に満たず、早い時期に認定を取得したことが資金基盤を整えるうえで重要だった」と振り返ります。

そして、認定取得以降も活動を安定的に継続していくためのポイントは「団体内に頼れる人を増やす」ことだと示唆します。その好事例として、同団体が定期的に実施しているミールサポートチームを挙げます。一方で、団体内だけですべてを対応しようとすると行き詰まることがあるとも。その解決策としては、日頃から他団体や人とのつながりを築き、困ったときは外部からの助けを求めることが大切だとアドバイスします。このような谷畑さんのお話に、約20年にわたって活動してきた団体を継承していく重みを感じました。

【講演】森玲子さん 東京ボランティア・市民活動センター

森さん(東京ボランティア・市民活動センター)にはNPO団体の法人格取得をテーマに講演をしていただきました。

最初に森さんから活動のはじまりからグループ化し、その活動が拡大するまでの過程についての説明がありました。「法人化」の検討は、活動が広がり、組織のあり方・カタチを模索する中で始まってくるといいます。

また、NPOとは非営利組織全般のことを指し、法人格の有無は問わないことを踏まえたうえで、NPOの形態として多い「任意団体」、「NPO法人」、「一般社団法人」の3つの形態の特徴をわかりやすく説明していただきました。そして、法人格のない任意団体でも活動できる幅は意外と広いことや、助成プログラムの対象になれることも教えてもらいました。例えば、東京ボランティア・市民活動センターが認識する助成金のうち、約8割は法人格のない団体でも応募が可能だったそうです。

森さんは「法人化は慎重に検討する必要があります。法人化の有無を含め、どの法人を選択するのかということは、自分たちにどのサイズの洋服が適しているのかを考えるのと同じことです。洋服のサイズを間違えると、それに合わせて体を作らなければならなくなるため、(運営が)とても大変です」とアドバイスします。この話を聞いて、すでに法人格を取得している団体からは「取得前に知っておきたかった」という声も上がりました。

「法人になるためにどうすればいいのかという視点ではなく、現在の活動を中心にして法人化を検討することが大切です。自分たちの活動に適した組織形態を選択するためにも、地域のボランティアセンターなどにぜひご相談ください」(森さん)。

また、任意団体でも「会則」をきちんと整え、NPO法人や一般社団法人のように一定のルールに則って経理・総会・理事会等の運営を行ってみることが、組織づくりに役立つとも。

食支援活動を実施あるいは希望する団体の多くが任意団体として活動しており、法人化は大きな関心事だっただけに、質疑応答の時間だけでなく、事後アンケートでも追加質問が多く寄せられました。団体の組織づくりにおいても森さんのような相談担当相談員の方からアドバイスを受けられることがわかったのは、参加者にとって大きな収穫となりました。

「えんたく」とは…?

丸いテーブルを意味し、円卓、縁卓といった漢字をあてはめることができます。非日常が続く小児病棟でも美味しいごはんの差し入れで、親御さんが病気のお子さんと同じ食卓を囲み、そこに笑顔が生まれることを願って活動している私たちの想いを体現しています。また、NPO団体、小児医療関係者など、付き添い食支援活動に縁ある者がみんなでテーブルを囲み、立場や役職に関係なく、意見交換や協働作業を行える場になることを願って名付けました。

※本事業は「タケダ・ウェルビーイング・プログラム2023」の助成をもとに実施されています。

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